私は、棟梁が、何を言いたいのか、気になってしかたなかった。あの無口な棟梁が、あれだけはっきりと「言いたいことがある」というのだから、かなりのことなのだろう。もしかしたら、左官屋のKさんや社長が話していたことと関係あるのかもしれない。手に負えないクリの木に、ストレスを募らせ続けてきて、それが爆発したのかもしれない。けれど、気がつくと、この騒動の最中に、すでに建築家のTさんも、方々から酒を勧められ続けたせいか、ただの酔っ払いになっていて、わけがわからなくなっていた。
(参考)
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オヤジさんと社長は、楽しそうに、大工談義に花を咲かせていた。Oさんは、もう難しいことは抜きにして、みんなでカラオケにでも行こうというノリになっていた。一仕事終わったという解放感から、ほとんど酔っ払い集団となっていて、醒めた私の問いに、まともに答えてくれそうな人は1人もいなくなっていた。みんなを、順番にタクシーに押し込みながら、私は、胸の中の不安がどんどんと増幅されてくるのを感じた。クリの木は、どれだけ狂うのか。どこまで暴れるのか。柱が裂けると、家はどうなるのか。我が家は、いったいどうなってしまうのだろう!