京成電鉄押上線・立石駅のアーケード街を入ってすぐのところに、三階建ビルのショップがあった。一階、二階がそれぞれ三五坪の売場で、三階は倉庫だが、二階の大型家電売場は冷蔵庫や洗濯機が数台、見本程度に置かれているのみで、実際はほとんど機能していない。いま、大型家電は量販店のほうが安いことと、調達や出張買い取りをやるには手間がかかり、利益も出ないことから、営業を停止している状態なのだという。ちょっと驚いたのは、このショップと背中合わせみたいなかたちで、同じ敷地内に営業母体があったことだ。だから、質屋の入口は、反対側の通路に面している。オーナーのIさんは、そちらの質店で、買い取りや質預かりの仕事を一人でこなしている。現在の地に引っ越して政雄さんが生まれた、ちょうどその年である。岩井質店が本格的に営業を始めたのは、まだ戦後の復興もままならない昭和二十六年(1951)それ以前に、立石6丁目のほうで祖父が質屋商売を始めて、父親と営業していたらしいが、詳しいことは不明という。